皆さんこんにちは。
本庄の山本歯科医院です。
予防ケアで歯を守ることは、人生の幸福度を高めることにつながります。
ところが日本では、歯医者は、むし歯になってから通う場所と考えている方がまだまだ多いのが現状です。
痛みを感じるむし歯になってから通うより、むし歯を予防する方が大切だと思いませんか?
北欧の国スウェーデンは、予防歯科の先進国。世界で最もむし歯や歯周病の罹患率が少ないといわれている国のひとつです。
今回は、そんなスウェーデンで実践されている予防歯科の大切さをご紹介します。
山本 公紀 院長
山本 公紀 院長
一生涯健康なお口の状態で食事ができ、豊かな心で幸福に暮らせますように、患者様の立場に立った治療を行っております。
医院名:山本歯科医院
所在地: 〒367-0044 埼玉県本庄市見福2-18-26
監修者:山本 公紀 院長
北欧の国スウェーデンでむし歯が少ない理由
予防歯科の先進国といわれているスウェーデンでは、むし歯や歯周病が少ないことがわかっています。
じつは、かつてのスウェーデンは、日本よりもむし歯が多い国でした。
しかし、現在では、むし歯罹患率は日本の10分の1以下。大幅にむし歯を減少させることに成功しているのです。
スウェーデンでは、「歯科医院に通うのは、むし歯になってから」という考え方から、1970年代には「予防重視のスタイル」に変化していったという背景があります。
日本の10分の1以下!スウェーデンの子どものむし歯
むし歯の状況を疫学的に示す、DMFTという指標があります。
厚生労働省によると、12歳児の一人平均DMFT歯数は、日本よりスウェーデンの方が少ないことが明らかにされています。
【12歳児1人あたりのむし歯の本数】
●1975年
・スウェーデン 6.3本
・日本 5.62本
40年以上前は、日本の方がむし歯の子どもが少ない傾向にありました。
しかし、予防重視で歯科医院に通うことを徹底したスウェーデンでは、1981年には3本程度(日本は5本以上)とグッと減りました。
●2011年
・スウェーデン 0.8本
・日本 1.4本
10年ほど前のデータでも、すでにこのように逆転しています。
12歳児だけみても、日本よりもスウェーデンの予防意識の高さからむし歯にかかる子どもが少ないことがわかりますね。
スウェーデンでは、子どもがむし歯にかかる率は、日本の10分の1程度と少ないです。
歯周病に関しては、日本では約80%の方が罹患しているのに対して、スウェーデンではわずか20%程度であることがわかっています。
なぜ、こんなにも圧倒的に国民の口内環境がよくなったのでしょうか。スウェーデンで実践されている歯科予防の方法をチェックしてみましょう。
フッ素効果を得るため歯磨き後のうがいはしない
チューブタイプの歯磨き粉の中の約8割には、フッ素が配合されています。
しかし、正しく使用しないとフッ素の効果を得ることができなくなると知っていますか?
実は、歯磨きの後のうがいのしすぎが原因で、フッ素の働きを台無しにしてしまっています。
今まで、4〜5回などうがいをしていた方は驚きの事実だと思います。
5回以上すすぐと、フッ素の効果はほとんどゼロに等しくなるため注意しましょう。
赤ちゃんのころから歯ブラシに慣れさせる
スウェーデンでは、まだ歯の生えていない赤ちゃんのうちから、歯ブラシを触らせます。
歯ブラシを口に入れることに慣れさせることで、ブラッシングへの抵抗がなくなります。
子どもの歯をいきなり磨こうと真剣な顔になるほど子どもは怖がって歯磨きをしてくれなくなるものです。
早めから歯ブラシを口に入れたり、指で口の周りを触ったりして慣れてもらうのがおすすめです。
国民の約80%が予防歯科に通っている
日本とスウェーデンの決定的な違いは、予防歯科に力を入れている点です。
日本臨床歯周病学会調べでは、スウェーデンでは、約80%が予防歯科に通っています。
対して、日本では10%未満と予防への意識が薄いことが明らかです。
予防歯科への意識の高さが、結果的にむし歯や歯周病の罹患率を少なくしています。
どうすれば歯の寿命が伸びる?
歯を失う原因トップ2は、むし歯と歯周病です。
むし歯と歯周病になってから、歯科医院に通い治療をして歯を守るよりも、むし歯と歯周病にならないために予防歯科に通う方が歯の健康は守れます。
予防歯科に通えば健康な歯を保てる!
むし歯や歯周病の予防のために「予防歯科」に通っていると、万が一、むし歯や歯周病があっても、定期的に通うことで、早期発見、早期治療にもつながります。
また、歯の着色や口臭予防もできるため、見た目やエチケットの面からも予防歯科はメリットがたくさんあります。
予防歯科での診療内容
それでは、予防歯科に通うと何ができるのでしょうか?
主に、どんな予防効果のある対策をしているかご紹介します。
フッ素塗布
フッ素を塗布すると、歯をむし歯から守るだけでなく、初期のむし歯であれば治る可能性があります。
まず、歯の表面をきれいにクリーニングした後に、フッ素を歯に塗ります。
直接歯に塗布する方法や、トレーにフッ素を入れて歯に吸収させる方法があります。
自分で唾を吐き出すことのできる子どもから大人まで、フッ素を塗ることが可能です。
シーラント
シーラントは、歯の噛み合う面にある溝にプラスチック樹脂を詰める処置です。
歯磨きが届きにくく汚れがたまりやすい溝を埋めてしまうことで、そもそも汚れがつきにくくする対策です。
主に、6歳臼歯(乳歯の歯列よりも奥に、一番はじめに生えてくる永久歯)など、歯のかみ合う面が複雑な構造になっている奥歯にシーラント処置を行います。
保険適用の治療なので、どなたでも受けることが可能です。
子どものうちに行うことでより効果を期待できます。
▼シーラントについてもっと詳しく知りたい方はこちら▼
「小児歯科のシーラントでむし歯予防」
プロフェッショナルケア
歯についてる歯垢や歯石は、いわば細菌のかたまり。これらを取り除くために、歯科医師や歯科衛生士による歯のクリーニングを受けることができます。
超音波などの機器を使用して行うため、毎日のブラッシングでは取り除くことが不可能な硬い歯石まで除去できるのです。
自宅での歯磨きの徹底と併用しながら、定期的に歯科医院に通いクリーニングを受けることで、効果的な歯周病の予防につながります。
セルフケアの改善
ブラッシングの見直しを、歯科衛生士が行います。
ご自身に合う歯ブラシや清掃用具、磨き方の癖、ブラッシング方法などの指導を受けられるので、お口の状態にあった効果的なセルフケアの方法を身につけられます。
フッ素の効果とは?
フッ素には、「歯質強化」「むし歯菌の働きの抑制」「再石灰化」の3つの働きがあります。
予防歯科の中で行う、フッ素の効果をご紹介します。
【フッ素の効果(1)】歯質強化
歯の表面の結晶をフルオロアパタイトという結晶にすることで、歯質を強くします。
むし歯菌の出す酸に溶けにくい強い歯に育てます。
【フッ素の効果(2)】再石灰化
むし歯の初期は、歯の表面が白く濁っていて穴の開いていない状態です。
これくらいの状態なら、フッ素を使用することで歯から溶けだしたカルシウムやリンを補うのを促進してくれます。
初期のむし歯であれば、治療をしなくてもフッ素だけで治る可能性があります。
【フッ素の効果(3)】むし歯菌の働きを抑制する
むし歯菌の活動を抑制してくれます。
むし歯菌が酸をつくらないように働きかけるため、歯が溶けにくくなり、むし歯の予防につながります。
スウェーデンで新常識のイエテボリ法とは?
スウェーデンでは、上記でご紹介したフッ素の効果を最大限に得るために、イエテボリ法を実施しています。
これは、イエテボリ大学で研究し発見した、フッ素効果をしっかり得るための磨き方です。
イエテボリ法の手順
- フッ素入り歯磨き粉を歯ブラシにつける
- 約2分程度、歯全体に行き渡るようにブラッシングする
- 余分な唾だけ吐き出して、すすがず泡はなるべく残す(もしくは少量(10ml)の水ですすぐ)
- 歯磨きの後は30分~2時間は飲食を控える
※ただし、対象年齢:12歳以上からの方法です。
予防歯科に通って歯の寿命を延ばそう!
お口の状態に合った歯磨きをしているか歯科医院でチェックを受けましょう。
定期的にクリーニングに通うだけで、むし歯や歯周病のリスクは減ります。
歯磨きを見直し!セルフケアを改善して効果アップ
歯科衛生士によるブラッシング指導を行っています。
お口の状態は常に変化するため、子ども、大人、歯茎の腫れや歯並びなどによってブラッシング方法を変える必要があります。
また、歯ブラシだけでは上手く磨けている人でも歯垢除去率が約6割程度と低いため、デンタルフロスなどの歯間清掃用具を併用することが好ましいです。
山本歯科医院では患者様に合った、ブラッシング方法と清掃用具をご提案しています。
定期検診とプロケアで歯の健康を維持!
いくつになっても健康で快適な暮らしを楽しむためには、歯の寿命を延ばすことが重要なポイントです。
スウェーデンで成功している予防重視の考えからも分かるように、予防歯科に通うことこそ歯を健康に保つ近道です。
むし歯や歯周病になってからではなく、健康な今だからこそ、予防のために歯科医院への通院をはじめてみてはいかがでしょうか?
▼歯と健康寿命の関係についてもっと詳しく知りたい方はこちら▼
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